痛みの雑学シリーズ⑤ 方言が他人に与える印象

ペインクリニック

痛みの・・・と書いておきながら、少し痛みと逸れているかもしれません汗 心の痛みということで、お手伝いに行っている病院におもしろい張り紙があったのでそれをきっかけに書いてみました。

数年前に東京の病院で働いていました。生まれてからずーっと関西で暮らしていた私は、修正のしようのないズブズブの関西弁でした。患者さんやスタッフの方に、

「関西のどこ出身なんですか?」
「うちの〇〇も関西に住んでてね」

などコミュニケーションツールの1つになる一方で、顔には出されないですが、話し方に嫌な気分を覚えた方もいらしゃっただろうと感じます。

関西弁はどうしても喋り方的に周囲の人に“ガサツ・乱暴・おおざっぱ”という印象を受けがちな気がしていたので、標準語を話すのは無理でも「丁寧で優しい関西弁」で喋る!ということをすごく心掛けていました。関西弁が武器になることはあっても欠点にならないようにしようと意識していました。

実際、関西弁は他の方にどういう印象を与えるのか?という疑問には、おもしろい?論文を見つけました。

Explicit and implicit attitudes toward standard-Japanese and Osaka-dialect language use

The Japanese Journal of Psychology 2013, Vol. 84, No. 1, pp. 20– 27

これは東京大学の心理学の先生が、関西弁が他の方に与える顕在的・潜在的態度の違いの検討をされた論文です。

この論文を私なりにまとめると、

「1980年代の研究においては、関西弁は情的評価・知的評価共に、低評価されていました。しかし、2000年代になるころから、研究結果に変化がありTVなどの影響によるものか、関西弁の暖かさ・人懐っこさ・距離の近さなどが理解され、情的評価として上昇しました。一方で、知的評価は他と比べて低い評価でした。

今回の研究においても、情的評価は高いとされているが、娯楽やアクセサリーといった一部に限定されている中での評価である。潜在的評価をみると参加者の年齢・出身地がばらばらでも、標準語と比べると関西弁は全て低い評価であり、関西弁が顕在的に高い評価であったのは低く評価することが悪いと感じ意識的に変えたものがある」

論文を読んだ後、こんなに切ない気持ちになったのは初めてです笑

東京にいる間は、やはり関西弁は欠点になっていたかもしれません笑

とはいえ、これからはずっと関西で働く予定なので、関西弁が好きですし論文には左右されず、「丁寧な関西弁」でいこうかと思います。

冒頭にも書きましたが、仕事のお手伝いで行かせていただいている大阪の南の方の病院のトイレにこんな張り紙がありました。

トイレでめちゃくちゃ笑ってしまったので、載せておきます。
関西弁にもマナーがあるんだ!気を付けよう。

前回の痛み雑学シリーズは→https://jun-pain.com/174/

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