神経ブロックについて

僕が治療の1つとして得意としているものに「神経ブロック」があります。 「神経ブロック」という言葉にどのようなイメージを持っているでしょうか?

患者さん
患者さん

「注射ってことは痛いんでしょう?」

「一時的に痛みをとるだけでしょう?」

「神経に注射するってやって大丈夫なの?一生動かなくならない?」

これらは当たっている部分もありますが、少し違う部分もあります。
この疑問を解決しながらどういうものかを書いてみようと思います。

神経ブロックとは

ペインクリニック学会によると「痛みを感じる神経に直接針を進め薬を注入・電気などを流すことで、一時的あるいは長期的に痛みを軽減させる方法」と記載されています。
神経ブロックは図のように種類が非常に多く存在します。

ペインクリニック学会HPより引用

多くの種類がありますがこれも一部です。病気により、使い分けながら使用します。
最近は、レントゲンの透視機能の技術の進歩や超音波の進化により、非常に安全で正確なブロックが可能となりました。
神経ブロックの主な役割としては、

  1. 手術の痛みを一時的に取り除く
  2. 痛みの原因部位に抗炎症薬・鎮痛薬を注入する
  3. 痛みの悪循環を取り除く
  4. (ガンの痛みなどに)神経を破壊し半永久的に痛みをとる
  5. 痛みの原因を診断するためにおこなう

など様々な目的に使用されます。

よく整形外科や内科などで見られる痛いところに注射を打つことは神経ブロックではないんです。あれはトリガーポイントブロックといって痛い部分を緩和させるために打つ注射です。これも非常に有効で、奥が深いのですが今回は説明を省きます。

神経ブロックって痛いの?

神経ブロックは針を刺すことが必要なので、痛みはあります。

痛みを取るために痛みを伴う注射をするっていうのは、やっぱりペインクリニシャンからすると複雑な気持ちになります(泣)

日々常に、なんとか注射の痛みを減らし元の痛みをとることばかり考えています。

しかし、実際治療をしていると炎症が起こっている部位に薬液をいれるため、傷口に塩を塗るようなもので痛みを伴うこともあります。ただし、事前に予測できるので患者さんとコミュニケーションを取りながらゆっくり治療していきます。

痛みを減らす工夫も多く行っています。例えば、僕たちが使用している針は非常に細い針を使用しています。よく点滴などで使用する針は外径0.9mmですが僕たちが使用する針は0.4~0.5mmです。太めの針を使用する際は初めに痛み止めを使用し、さらに薬液を注入する際は痛みを伴うのでゆっくり注入します。

また、神経に直接注射をすると電撃痛を伴うため患者さんには苦痛です。そのためなるべく神経を包み込むカバーの部分に薬液を入れることで電撃痛が起こらないようにしています。

ビビりな僕もこれまで何回も自分に針を刺しましたが、思っているほど痛くないなという印象です。

これは個人の感覚ですが笑

一時的に痛みをとっているだけ?ごまかしているだけ?

非常によく聞かれる質問の一つです。
神経ブロックの役割は上記にも書きましたが、緩和医療を除くと

  1. 耐えられない痛みを早急に取り除く
  2. 痛みの原因となる部位に直接、抗炎症薬を注入する
  3. 痛みの悪循環(別でまとめる予定)を取り除く

の3つにあると思います。
この3つの中で1番目は質問である「一時的に痛みをとっている」という部分に当てはまるかと思います。

ぎっくり腰や椎間板ヘルニア・帯状疱疹などで動けない痛み・眠れないほどの痛みなどは非常に苦痛を伴うためそれらを楽にする数少ない手段かと考えています。

しかし、他二つの役割も重要です。
これらは一時的に痛みをとるのではなく、完治を目指したブロックです。
原因部位を突き止め、そこに回復を促すブロックを数回行っていくと痛みが完全になくなり診察を終える方が多くいらっしゃいます。それらはやはり、下2つの役割が大きく関わっていると考えられます。

合併症は?寝たきりになることとかあるの?

まずはじめに、神経ブロックをすることでずっと寝たきりになる・・なんてことは、信じられないことが起きない限りまずありえません。
口から摂取する内服薬も多くの副作用が存在しますが、神経ブロックもやはり副作用・合併症が存在します。

怖い合併症としては、
針からばい菌がはいることによる感染・血管にあたることでできる血種(血の塊)・局所麻酔が血管の中に入ることによる中毒症状などです。これらは、怖く常に注意すべき合併症で場合によっては手術も検討しなければなりません。しかし、確率は0.01%以下と非常に稀と報告されています。当院でも数十年で一度も起きたことはありません。

他の合併症として、運動神経も一緒にブロックするので、足や手の痺れはよく起こりますが、それは合併症ではありません。しかし、痺れが取れるまでの時間が長めになることが時々あります。ただこれは、必ず元に戻ります。

合併症は軽いものから重いものまで存在しますが、これらは内服薬も同じです。内服薬はいったん血液内に入り全身に作用するため、様々な合併症が起こりえますが神経ブロックは局所的に効果を発揮します。

そのため、合併症・体への負担はむしろ少ない方だと考えています。

まとめ

神経ブロックのことについて序文的に書いてみました。
まだまだ書き足らずもっと詳しく・もっと自分の意見・経験も踏まえて書きたい部分もたくさんあるんです笑。しかし、長くなってしまいますので今後どんどん付け足せたらなと思います。

使い方を誤らなければ、素晴らしい治療であることは間違いないので少しでも痛みに苦しむ患者さんに知ってもらえますように。

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