痛みの疾患シリーズ ⑥帯状疱疹ワクチン

痛みの疾患シリーズ

以前、帯状疱疹の痛みの話でも書いていましたが、その際にも少しワクチンについて触れました。

今の病院で働いていると患者さんや病院のスタッフの方に、ワクチンの事をかなり聞かれます。コロナワクチンで、ワクチンや予防といった言葉により敏感になったのかもしれません。良い・悪いは置いておいて、多くの方が関心をもって相談してくれるのは嬉しいことです。
そこで自分なりに良く聞かれる大事そうなところを抜粋して最新の知見を混ぜながらまとめてみました。
一緒に帯状疱疹ワクチンの基本的なところを勉強できたらと思います。

現在、帯状疱疹に対するワクチンは、

  • 弱毒生水痘ワクチン
  • 不活化ワクチン(シングリックス)

の2種類があります。

2つのワクチンは作りが違います。

①の生ワクチンはウイルスや細菌の毒性を弱くしたものを原材料として使っており、
②の不活化ワクチンはウイルスや細菌の感染能力を完全になくしたものを原材料として使っています。

そんなわけで①は1回接種でいいのですが、②の不活化ワクチンの方は生ワクチンに比べて免疫力が弱いので1回の接種では十分ではなく複数回接種する必要があります。(帯状疱疹ワクチンの場合は2回)

それを踏まえた上でまとめてみた図が下になります。

Clin Infect Dis. 2017 Mar 15;64(6):785-793
N Engl J Med. 372(22), 2087-2096, 2015,
Clinical Infectious Diseases, Volume 74, Issue 8, 15 April 2022

砕いた言葉で簡単に言うと、
シングリックスは高いけど、効果は抜群。生ワクチンは安いけど、効果は少し落ちるという感じです。 他にも面白いデータがあります。

厚生労働省HPより

これは厚生労働省によるデータですが、
このように時間が経てば、予防効果は薄れていきます。しかしシングリックスはある程度時間が経っても予防効果があることがわかります。

VaccineVolume 37, Issue 27, 12 June 2019, Pages 3588-3597

費用対効果いわゆるコスパをみた面白い論文もありました(笑)
これによると、細かいことは省きますが、50歳を超えてから予防効果を維持し続けるとすると、生ワクチン8000円、シングリックス3万円とすると生ワクチンを打った方がコスパはいいようです。

副反応については、ごくわずかですが、多くは、発赤や注射部位の痛みや軽度発熱などでしたが、一部ごくわずかですが重篤なものもあったようです。

最後に:
さて、皆様どれを打ちますか?打たないですか?様々な意見があっていいと思いますし、一定の確率で副反応がある以上、打たないというのも不正解ではないと思っています。

個人的な意見となると、僕はやはりどちらでもいいので打ちたいなと思っています。

悩ましいですよね。どちらにしても帯状疱疹で命に危険が迫ることはほぼありませんし、もしなったとしても治療薬があります。痛くなったら頼ってもらったら良いです。

ゆっくり考えましょう。

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