これまで①帯状疱疹 ②腰椎椎間板ヘルニアときて3つ目になります。
腰痛・・・それは日常的に感じる軽いものから、ある日突然動けなくなるほどの重いものまで様々です。
「あー今日も腰痛い・・」その腰痛はどこが原因なんだろうと、一度は皆さん考えられたことありますよね?
日々、ペインクリニック外来には腰痛の患者さんが多く来られます。その多くは鎮痛薬と湿布だけで治る患者さんです。しかし、中には手ごわいものも潜んでいます。なかなか症状が治まらない場合、原因を見極めることで早期改善につながります。
今回は、腰痛に対して一緒に勉強してみたいと思います。
(難しいことは、なしでわかりやすく書いてみようと思います)
個人ブログですので、個人の見解も含まれていますことをご了承ください。
腰痛を持っている人はどれくらいいるの?
84%の人が腰痛を一生のうちに経験すると言われています。
(一重まぶたの人(70%)より多いことになります笑)
図は厚生労働省によって毎年行われる国民生活基礎調査のデータの結果です。腰痛の症状を訴える人を見ると、男性では最も多く,女性では肩こりに次いで2 番目に多い愁訴です(図1)。また、1 年当たり国民の約4.5%が腰痛に対する通院を行っており,高血圧や糖尿病などと並んで国民の多くが通院治療を必要としています(図2)
どうでしょう?皆さん。
めちゃくちゃ多いですよね!あなただけではなく、職場の隣の人ももしかすると悩んでいるはずです笑
腰痛がでたらどんな病気を疑うの?
腰痛の患者さんが来られたら、まずは、すぐに起こったのか?(急性痛)・長年ずっと痛いのか?(慢性痛)で分類します。
その後、以前お話ししたような「きっかけ」や「痛みの性状」や「既往歴・病歴」などを確認しながら診察をして原因を探っていきます。
一番よく出くわすのは、急にでた痛みは、ぎっくり腰(急性腰痛)や腰椎椎間板ヘルニア、ゆっくりでた痛みは姿勢や加齢に伴うなどが原因の慢性腰痛などです。
しかし!まれにそれらとは別の原因の怖い腰痛が潜んでいます。
図のように、実は多くの病気が潜んでいます。これらの見分け方は、私たちに任せちゃってください。「されど」腰痛ですが、侮れないことがわかりますよね。
検査はどんなものがあるの?
まずは、診察と問診・(血液検査)などをおこない、先ほど述べた怖い病気を否定します。否定したうえで、多くの患者さんが整形外科の病気なのでレントゲンを撮影します。
レントゲンでわかるのは、主に骨や椎間板・軟部組織(皮膚から骨までの間)です。レントゲンでも原因がわからなかった場合、登場するのが、MRIです。MRIは、脊髄の中や神経・血管・筋肉など細かい部分も丸裸にできます。
これは、椎間板が原因の腰痛のMRI(体を縦に切った画像)です。他の椎間板は、白いのですが、赤い丸で囲った部分は黒くなってますよね。レントゲンではわからなったのですが「椎間板」が原因だ!とわかります。
こちらは、左側だけに腰痛があり、体をまわしたりすると痛みが出る患者さんでしたが、診察の時点で、椎間関節(骨と骨の間)の痛みを疑いましたが、MRI(横切り)を調べてみると、その部分に炎症がおこり水がたまっているのがわかります。
治療はどんな風におこなっていくの?
私の専門分野は、7-8割が対象となる筋肉・骨・神経などが原因の腰痛です。
危険な腰痛や専門外の腰痛は、すぐに大きな病院に紹介しています。
問診や診察・画像所見・超音波・・いろいろなものを駆使しながら痛みの原因を探っていきます。そして、原因がわかると、治療に移ります。
治療は大きく3つあります。
- 内服療法(おくすり)
- ブロック注射
- リハビリテーション
です。
- 内服療法:
痛みを止めて、原因となっている炎症を落ち着かせるような薬を処方します。
有名なものでいうとロキソニンなどがこの部類になります。非常に優秀な薬でどんな病院にいってもまず、処方されるような薬です。いまでは、ドラッグストアにも置いていますものね。それぐらい効果が期待できるということです。
その他にも、シップや筋肉をやわらげる薬、しびれを取る薬、ロキソニン等よりもっとつよい鎮痛薬・漢方薬など多くの種類があります。それらを患者さんのさまざまな部分を考えながら、合った薬を処方していきます。ここはペインクリニシャンの腕の見せ所です。 - ブロック注射:
注射は針を刺すため患者さんにとっては痛みを伴いますが、それにもまさるメリットがあると考えています。薬は全身投与なりますが、ブロック注射は痛みの原因となっている部位に直接、抗炎症薬と痛み止めを流してあげることができるため、非常に効果的な治療がおこなえます。
例えば、上図のように椎間板が悪ければ椎間板に、椎間関節が悪ければ椎間関節に直接薬を注入し、回復を促します。さらに昨今、超音波やレントゲンを用いてブロックを行うことができるようになったため、「より安全、より正確」なブロックが可能となりました。下の図は、一例ですが、椎間板や椎間関節に薬を正確に注入している画像です。このように短時間で正確に痛みが少ない注射が可能になりました。
しかし、可能性は非常に低いですが、感染症や血の塊ができるなどの合併症があります。そのため、しっかりとした技術が必要になってしまいます。
つまり・・これもやはりペインクリニシャンの腕の見せ所です笑 - リハビリテーション:
リハビリテーションと書きましたが、ここでは一般的な御高齢の方が理学療法士さんにおこなってもらうリハビリから、若年の方が普段の生活(姿勢・動き)をコントロールし修正していくことまで全てのことを意味しています。患者さんが病院に来られて、治療をおこなっていきますが、その時治療をしただけでは、頑固な痛みはなかなか取れません。スポーツや音楽にしても、習いに行ってそこで成長しますが、さらに成長するには自宅でのトレーニングがいりますよね?それと同じで、日常生活の姿勢・動き・弱ってしまった筋肉などを強化することが必要です。理学療法士さんと協力して修正していく必要があります。これは合併症もないですし、今後の痛みの予防にもつながるため、非常に有効な治療です。
最後に
腰痛について一緒に勉強していただきました。まだまだ、書きたいことがあるのですがうざったくなってしまうので、大筋だけ書いてみました。
腰痛は、初めにお話ししたように、多くの患者さんが悩んでいます。そのため、研究もどんどん進んでおり、新しい治療が多く出てきています。
私は医療者なので、時代に遅れることなく患者さんにとって良い治療というのを、しっかり取捨選択し提供したいと思います。・・・と自分のふんどしをしめて終わりたいと思います!
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