つまずいて痛い!〇〇にぶつけて痛い!ぎっくり腰が痛い!
腰のヘルニアが痛い!
手術をした後痛い!
上司のパワハラで痛い!
はじめに
日常生活を送っていると、多くの痛みと遭遇し多くの痛みと付き合って日常生活を送っていることかと思います。
これらの痛みについてどのような痛みだ とか分析されたことはありますか?
普通はないですよね。
僕は職業柄なのか、自然と痛みを分類してしまう癖があります笑
ペインクリニックにおいて痛みを分析し分類することは患者さんの痛みを取り払うための非常に重要なスキルの1つです。
僕も日常診療において、患者さんの話を聞きながらその場で痛みの分析・分類し原因を探索し治療に発展させていってます。
その一部を少し簡単にわかりやすくお話ししたいなと思います。
痛みの分類には、
「性状」「パターン」で分ける2つの方法があります。
痛みの性状で分類
痛みの性状は3パターンと言われています。多くありそうな気がしますが、意外に少ないですよね。
上図のように、「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「心因性疼痛」という3つです。
簡単に言うと、侵害受容性疼痛は手術で切られたような痛みや打撲やナイフで切ったような痛みです。神経障害性疼痛は、名の通り神経の痛みなので、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛のような神経に障害があった時に起こる電気が走るような痛みです。
心因性疼痛は、主たる原因というものが特になく、精神的なものから来る痛みです。
これらは単独の痛みということはあまりなく、時間が経てば経つほど色分けしたように重なっていることがほとんどです。首のヘルニアなどを例にとってみると。元は神経の痛みなのですが、痛くて動かさなくなるので時間が経つと筋肉の痛みなど(侵害受容性疼痛)が出現し、さらに痛みでストレスがたまり痛みが増幅される(心因性疼痛)といった感じです。
さて、大まかな分類は3つですが、その中の「侵害受容性疼痛」はもう少し細かく分かれます。下図のように「内臓の痛み」か「体性痛(内臓以外の痛み)」に分かれます。
これは皆さんも知らず知らずのうちにやっています。胸が痛くなった時に心臓の痛みと考えて循環器内科に行くのか、それとも肋骨の痛みを疑って整形外科に行くのか?ということです。この例はわかりやすいのですが、分かりにくく判断に困ることも多々あります。
そのため、レントゲン・MRIや血液検査で原因検索をしたり、どんな痛みかを問診ながら分類していきます。
痛みのパターンで分類
もう一つの分類方法として、下図のように痛みの出現の仕方でわけます。
ずーっと痛いことを「持続痛」、時々鋭い痛みがくることを「突出痛」といいます。
これらを見分けることで、①の分類と組み合わせて病気・痛みの原因を考えたり、治療方法・薬の使用タイミングを考えたりします。
例えば、持続痛がメインであれば、薬を朝昼晩と定期的に飲んでもらったり、突出痛がメインであるならば、神経ブロックで抑えながら頓服で痛みを飲んでもらったりと変化をつけます(例えばの話です)。
まとめ
今回は、痛みの分類の代表的な方法を書きました。
痛みというのは個人にしかわからなく、なかなか僕たち医師や他の人に伝えるのはとても難しいことです。なんとかして患者さんの痛みを知りたくてできた分類だと思います。
これらを踏まえて、冒頭の患者さんの痛みですが、
つまずいて痛い!〇〇にぶつけて痛い!ぎっくり腰が痛い!→侵害受容性疼痛
腰のヘルニアが痛い!→神経障害性疼痛
手術をした後痛い!→侵害受容性疼痛・内臓痛・体性痛
上司のパワハラで痛い!→心因性疼痛
といった感じになります。
この他にも
- 安静時に痛いのか?もしくは動作時のみ痛いのか?
- 夜寝てる時も痛くて目が覚めるのか?夜は寝れているのか?
- 片側だけ痛いのか?両側痛いのか?
などなど診察に関わる痛みの分類は挙げればキリがないですが、今回は2つを挙げてみました。
この文章を読んでいただいた方はせっかくなので、
「痛い!なんでやねん!」で終わらせず、仕分けしてみませんか?
きっと役に立つはずです♪
コメント