麻酔科医・ペインクリニシャンとして働いていると、あらゆる痛みに遭遇します。切り傷や手術の痛み・出産の痛み・神経の痛み・頭痛や腹痛・痛風・骨折・がんによる痛み・精神的な痛み・・・など挙げるとキリがありません。
こんだけたくさんの痛みと触れ合う中で、時々おもいます。
いーっちばん痛いのはどの病気なんだろう?
もちろん順番をつけることは不可能だと思いますが、、。
教科書的には痛みにおいてこれが一番きつい痛みだ!と書いているものは存在しません。しかし、世界仰天ニュースにも取り上げられましたが、世の中には一般的に言われる「3大疼(激)痛」というものが存在します。
諸説あるそうですがその3つとは「尿路結石・心筋梗塞・群発頭痛」だそうです。
確かに救急医時代、尿路結石と心筋梗塞の患者さんはよく見ましたが、ベッドの上でのたうち回り救急処置室から周りに聞こえるくらいの声で叫んでいるのを幾度か見たことがあります。
群発頭痛は、ペインクリニシャンになってから出会った病気ですが、非常にインパクトがありました。頭痛が強すぎて叫びながら壁に頭を打ち付けたり自分の手で頭を強く叩き痛みを紛らわせようとしている姿は今でも鮮明に覚えています。
この一般的にいわれている3大疼痛というのは、確かにランクインするよなぁ・・と思えます。
しかし、個人的にはこれもランクインしてもいいんじゃないの?と思える病気があります。
「三叉神経痛」という病気です。これは顔の痛みを感じる神経です。この神経が頭の中から外に出ていく時に、近くを走っている血管とぶつかることにより、顔面に激痛が起こる病気です。
この病気が怖いのは、顔を洗ったり・ご飯をたべたり・歯を磨いたりすると信じられないくらいの電撃痛が顔に走るためこれらの行為ができず病院に来られるときにはご飯が食べれずげっそりし、能面のように顔の表情をくずさずに来られます。涙ながらに痛みを訴えられることも多く、一番きつい痛みに入るんじゃないかと思います。(治療法はちゃんと確立しており、予後は良くすぐに痛みをとることも可能ですので心配はいりません。)
「がんの痛み」・・・これも個人的にはランクインする病気です。東京の病院で痛み治療の修行をして自信をもって関西に帰ってきて、緩和ケアチームの一員となりがん患者さんと向き合った時のことをよく覚えています。絶対に楽になってくれる!と自信をもって治療しても、なかなか満足のいく結果がでませんでした。少しでも生活の質をあげたくて人に頼りながらがむしゃらに頑張りました。
考え出すとその他にもたくさんきつい痛みが思い浮かび結局、個人的にも結論は出ませんでした汗
物静かな性格のうちの奥さんの出産に立ち会った時の痛くて叫んでいる姿を思い出すと「出産もランクインするよな」とも思いますし、大学受験に2回落ちた時の自分の心の痛みを思い出すとそれもランクインするなと思います(笑)
つまり、、、このテーマは諸説のままを3大疼痛ということにしておきましょう。
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