痛みの分類 ②質問票~あなたの痛みをもっと知りたいから~

ペインクリニック

前回、痛みの分類についてお話ししました。

最後のまとめで、「痛みについて一番わかるのは患者さん本人であって、僕たち医師には全てを理解することができないので、少しでも患者さんの痛みを知るための分類」とお話ししました。

患者さんの痛みが「侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・心因性疼痛(前回を参考に)」の3つの分類のうち、どの要素が一番強いのかを知るために世界の賢い先生たちは様々な質問票を作りました。

今日はそれをご紹介したいと思います。

(ただ、質問票は数多くあるため今回は、現在日本で使われているメジャーな問診票を挙げてみます。)

NRSスケール・VASスケール・FRSスケール

これらはとても単純ですが、痛みの評価で一番有名な質問表です。
「今日はめちゃくちゃ痛い!」「あんまり痛み変わっていません」「少し痛みとれてきたよ」と診察の時に患者さんから聞いたりしますが、それらは患者さん自身の評価であって、客観的に痛みを評価するのは難しいのです。それらを客観的に評価することを目的に作られました。もちろん完璧ではありませんが、役に立つことも多々あります。

一般的に2以上下がると痛みが取れていると判断します。

神経障害性疼痛スコア

その名の通り神経障害性疼痛かどうかを見極めるためのツールです。

9点以上で可能性が高いとされています。国際疼痛学会やペインクリニック学会などで紹介されており、学会などでも使用されることが多いのが特徴です。他にも、LANSS、DN4、painDETECT(下図)など同様のものがあります。

EQ5D、PDAS

この2つは生活の質を評価する質問票です。
僕が医師になったころは、治療が効果あるかの指標として、「痛みがとれているかどうか?」がメインであり①に挙げたNRSが重要視されておりましたが、最近では痛みがとれているか?ももちろん重要ですが、「生活の質があがっているか?」が注目されるようになりました。

「痛みがとれたら生活の質もあがるし、2つも調べる意味があるの?」と思うかもしれませんが、痛みと付き合っている患者さんにとっては2つのテストが比例しないことが多々あります。

破局的思考スコア(PCS)、HADSスコア

この2つはいわゆる心因性疼痛の要素がどの程度あるかをはかるテストです。

痛みの原因となる部分は治癒しているのに、痛みがとれないことって多々あります。診察ですべてを知ることは難しく、診察で明確にできない部分を知る補助的な役割としてこの質問票は重要です。
強く言いたいことは、これらが高いからといって「頭がおかしくなっている」「精神病じゃないか」というわけでは決してありません。僕もそうですが、痛みが出るとみんな不安になります。怖くない人なんていません。

まとめ

痛みの分類をするための道具として使われている質問票を挙げてみました。

とても有用なものが多いのはいいのですが、問診票が多くなり患者さんがうんざりしてしまうので、厳選しなければいけないことが悩みです笑

重要な質問票ですが、しかし、これらの点数が高いからと言って一概に「〇〇だ!」と決めつけることはありません。
質問票はあくまで紙であり、これで決めれるならAIで可能です。目の間に座っている患者さんと痛みについて共に戦うのが仕事です。

ペインクリニシャンはあなたの「痛い!」を真剣に考えていますよ!

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