医師国家試験の辛さを振り返って

日々の事

先日、医師国家試験がありました。すでに十数年経っていますが、このネットニュースを見るたびに当時、どんな気持ちだったかを必ず思い出します。


僕は、私立の医学部出身なのですが、大学4年生頃まではテストが厳しかったり、休みも他の学部と比べると非常に少なかったですが、そこまで周りの大学生とあまり変わりません。
休みの日は遊びに行ったり、部活を楽しんだりしていました。5年生になると病院実習が始まります。患者さんのために働いている医師の姿を毎日いろんな科で目の当たりにし、急にあと数年で医師になることを実感し始めます。
そのあたりから徐々に医師国家試験に向けての勉強がはじまっていきます。

他の方々はどうであったかわかりませんが、僕は正直、そこから医師国家試験までは地獄の日々でした。もう一度昔に戻れるとしても大学生に戻りたいとは絶対に思いません笑
僕は、あまり成績も良くなかったのでまずは他のみんなに追いつくために勉強をはじめました。5年生から6年生の進級試験を必死の思いで乗り切りました。そして、6年生になると更に過酷さが増しました。



僕が卒業した大学は国家試験の合格率が当時非常に良かったのですが、その裏側は成績が悪い僕たちには半端ないノルマとプレッシャーがありました。
成績によりクラス分けがあり、計4回の1週間の合宿・毎週土曜にはテスト、年に数回の大きなテストがあり成績が悪いと留年もありえるというものでした。
辛すぎでしたが、今思うのは、あの大学でなければ僕は医師になれていなかったんじゃないかと思います。勉強するための最高の環境とプレッシャーを与えられていました。とても感謝していますが、当時は地獄でした(2回目)
テスト以外のスケジュールは決められたものはなく、ただただ朝起きて夜寝るまで大学が用意してくれた部屋で勉強します。全ての科をノートにまとめ毎週テストに挑みます。テストが終わるとまた次の土曜に向けてノートを作り問題を解きます。これを1年間繰り返します。非常に苦しく、つらいものでしたが唯一救われたのは、部屋で勉強した仲間はみんな仲が良かったことです。一緒にご飯を食べ・問題を出し合い・教え合い・息抜きに飲みにいきました。勉強を通して友情も培ったと思います。
友達がいないと絶対に乗り切れませんでした。

そして最後の合宿が終わると国家試験前の最後の試験「卒業試験」に突入します。
これは、国家試験より難しくさらにこれに落ちると国家試験さえ受けれません。この試験が国家試験といっても過言ではありませんでした。

この時のことをよく覚えています。試験日の1週間くらい前から結果が出る日まで緊張とストレスで下痢が続き、発表日は怖くて結果を見に行けず家のトイレで携帯を握りしめていました笑
友達からの電話があり「受かってたよ!」と聞き、喜びと脱力感でわけのわからないことを叫び少しの間動けなくなりました。



そこから数週間後、本番の国家試験です。この日は、なぜかすごく落ち着いていました。
卒業試験を乗り切った自分が落ちるはずがないというわけのわからない自信がついていたからです。

家からは遠いため、梅田の新阪急ホテルに自分の2年間まとめた十数冊のノートを握りしめ3日間(今は2日間らしい)滞在しました。試験が終わると、毎日部屋のドアの下から医師国家試験予備校のまとめ資料が配布されます。見直し終わると先生方から翌日に向けて鼓舞され、後輩達からメールで応援され、また次の日を迎えるという日々です。長い日程でしたが、何事もなく終わり、終わった瞬間合格を確信しました。あの辛い日々のおかげです。実際、結果も受験者のちょうど真ん中あたりという無難な順位で合格することができました。

医学部は国立・私立と多くの大学があり、学生のレベルも様々だと思います。もともとコツコツ勉強し、あっけなく終わった人もいれば、僕のような日々を送った人もいるかと思います。どちらにしても長い長い6年間の集大成です。

「お疲れさまでした!4月からは一緒に働こう!」と想い、ネットニュースを閉じるのでした。

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