肩・首・腰の痛みで来られて、治療している最中に、診察室で相談される病気ナンバーワンといっても過言ではない病気・・それがへバーデン結節とCM関節症です。そんな日々の診療において頻繁に見かける、二つの病気について書いてみたいと思います。
へバーデン結節とCM関節症は、二つとも指の関節に影響を与える変形性関節症ですが、痛みが出る場所や症状に違いがあります。
へバーデン結節
へバーデン結節は、指の第一関節(指先に近い関節)に生じる変形性関節症です。主に40-50代の女性に多い病気です。
具体的な原因は不明といわれていますが、ホルモンバランスの変化や2006年の研究では遺伝的素因の関係性(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16443379/)も関与していると言われています。
症状と機序
へバーデン結節の初期症状として、指先の関節に痛みや腫れが現れ、関節周りに「もやもや血管」という異常な血管が形成されることが多いです。この異常血管は、炎症を引き起こす物質を関節に運ぶため、痛みや腫れが悪化しやすくなります。その後、関節が硬くなり、骨が増殖して「骨棘(こつきょく)」と呼ばれる骨のとげが形成され、指先の関節が太く見えるようになります。変形が完成されてしまうと、痛みは次第に軽減するものの、動かしづらさ等が残ったりすることが悲しいところです。
治療について
治療には、鎮痛剤の内服や指のストレッチやマッサージといったリハビリが用いられます。症状が重い場合には、動注治療がおすすめできます。動注治療は、上で書きました炎症の原因である異常血管(もやもや血管)をつぶして炎症を抑える治療です。当院でも経過良好な例が多いですが、保険診療でなく自費診療になってしまうところが残念なところです。。
CM関節症
母指CM関節症は、下の図のように親指の付け根にある「CM関節」(母指中手手根関節)に生じる変形性関節症です。この関節は、親指を曲げたり伸ばしたりする際に多くの負担がかかるため、関節が摩耗しやすく、加齢とともに変形が生じやすい部位です。
症状と機序
初期症状には、親指の付け根に痛みやこわばりが現れます。特に、物をつかむ、瓶のふたを開けるといった動作で痛みが強くなり、日常生活に支障を来すことがあります。中等度になると、関節が次第に変形し、見た目に膨らんで見えるようになったり、関節の動きが制限されたりします。さらに進行すると、関節の摩耗によって軟骨が減少し、骨同士が直接接触することで痛みがさらに増します。ここまでくると、保存療法では難しく手の専門の先生に診ていただく必要がありますが、多くの方は前段階で来院されます。
治療
手術が選択されることは珍しく、基本的には保存療法をおこないます。サポーターなどで日常動作時の負担を減らすことも重要ですが、症状が進行し日常生活が困難になった場合には、関節注射や動注治療が効果的です。重症度分類で軽症に入るものの場合、91%が注射によって奏功するというデータもあります。確かに、私も日常で注射をよくおこないますが、次来られた時にはすっきり良くなり笑顔でさよならをすることが多いです。
がしかし、デメリットもあり、、
①再発する可能性があること
②どんだけ細い針を使っても注射が痛いこと
になります。
まとめ
本当によく見かける二つの病気について書いてみました。怖い病気じゃないけど、嫌な病気ですよね。痛みが強い場合は、HPでも紹介している動注治療が有効なことが多いので困ってる場合はまずは相談してくださいね!
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